食べさせていただきますは敬語ですか?

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「食べさせていただきます」は謙譲語ですが、相手への行為を促す場面では不適切です。「いただく」は自分の行為をへりくだって表現する言葉なので、相手への誘いは「召し上がってください」が正しい敬語表現となります。状況に合わせた適切な語句選びが、円滑なコミュニケーションにつながります。

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「食べさせていただきます」は本当に敬語? 誤解されやすい謙譲語の落とし穴

「食べさせていただきます」という言葉、日常生活でよく耳にするのではないでしょうか? 一見、丁寧な言い方なので敬語だと思いがちですが、実は使い方を間違えると失礼にあたる可能性がある、少し複雑な表現なのです。

「食べさせていただきます」の正体:謙譲語

「食べさせていただきます」は、動詞「食べる」に謙譲語の補助動詞「させていただく」をつけた形です。謙譲語は、自分自身の行為をへりくだって表現することで、相手への敬意を表す敬語の一種です。

つまり、「食べさせていただきます」は、自分が食べるという行為を控えめに表現することで、相手に敬意を示すという意図が含まれています。

誤解を生む原因:許可を得るニュアンス

「させていただく」には、相手に許可を得る、もしくは相手の恩恵を受けているというニュアンスが含まれています。そのため、以下の条件を満たす場合にのみ、適切に使用できます。

  1. 相手の許可を得て行う行為であること 例:上司に「先に失礼させていただきます」
  2. 相手から何らかの恩恵を受けて行う行為であること 例:ご招待いただいた食事会で「美味しく食べさせていただきます」

もし上記の条件を満たさない場合、「食べさせていただきます」は、相手に恩を着せようとしている、または許可を強要しているような印象を与えてしまう可能性があります。

状況別の適切な言い換え:

では、どのような場面で「食べさせていただきます」は不適切で、どのような言い換えをすれば良いのでしょうか?

  • 相手に食事を勧める場合:

    • 不適切: 「どうぞ、食べさせていただきます」
    • 適切: 「どうぞ、召し上がってください」「よろしければ、お召し上がりください」
    • 解説: 相手に食事を勧める場合は、相手の行為を高める尊敬語を使用するのが適切です。「召し上がる」は「食べる」の尊敬語にあたります。
  • 自分が食事を始めることを伝える場合:

    • 状況によっては不適切: 目上の人と一緒に食事をする際に、許可を得る必要がない場面で使うと、慇懃無礼に聞こえることがあります。
    • より丁寧な表現: 「いただきます」「頂戴いたします」
    • 解説: 食事を始めることを伝える場合は、「いただきます」が一般的で、より丁寧な表現として「頂戴いたします」があります。
  • 食事をご馳走になる場合:

    • 適切: 「美味しく食べさせていただきます」
    • 解説: この場合は、相手から食事をご馳走になるという恩恵を受けているため、「食べさせていただきます」は適切です。

まとめ:言葉の背景を理解して適切に使い分けよう

「食べさせていただきます」は、状況によっては失礼にあたる可能性がある、少し難しい表現です。言葉の背景にある意味を理解し、相手や状況に合わせて適切な敬語を使い分けることが、円滑なコミュニケーションにつながります。

日頃から様々な表現に触れ、言葉のニュアンスを理解することで、より洗練された日本語を使いこなせるように意識しましょう。